日本にランドセルが誕生したのは江戸時代といわれます。当時は高級品で一部の選ばれた子どもたちしか持てませんでした。それから現在まで多くの進化を遂げたランドセル。この記事では、そんなランドセルの歴史と進化を20年前、10年前、そして最新版という流れで、カラーやデザインといった観点から追っていきたいと思います。
20年前のランドセル ってどんなだったの?
まずは今から20年前を見ていきましょう。今から20年前というと、90年代の後半。1990年代初頭のバブル崩壊以来、経済的には混沌とした空気に包まれていた時代でもあります。また、当時はランドセルの購入も今のように「ラン活」というイベントではなく、親が購入してきた物を、子どもが受け取るというスタイルが一般的でした。
価格は今より安く3万円台が主流
大手ランドセルメーカーが提供している情報によるとランドセルは、発売当初から年を経るごとに、価格が上昇している傾向にありました。バブル真っただ中では平均価格が3万5千円台まで上がりましたが、バブルがはじけたことで価格は停滞し、その後平均は3万円台にとどままりました。
※参照 ランドセル工業会 http://www.randoseru.gr.jp/history/kakaku.html
カラーリングは赤と黒が主流
20年前は基本的には赤、黒が一般的でした。諸説ありますがこの時期からランドセルのオーダーメイド化などにより赤、黒以外のランドセルが販売されていたようです。ただ、販売数自体は少なかったとみられています。
形は学習院型が主流でサイズも小さめ
この時期は縦かぶせ型、俗に言う「学習院型」が主流でした。半かぶせ型も、ちらほら作られるようになり、形のバリエーションは少しづつ豊富になりましたが、まだまだこちらも一般的ではなかったようです。
また、20年以上前はB5型のプリントや教科書が主流であったことから、今よりも一回り近く小さかったランドセル。教材のサイズがどんどん大きくなり、ちょうど20年前の1998年には、ランドセル工業会がA4サイズをランドセルの標準サイズと定めました。そこから現在まで、どんどんサイズは大きくなっています。
10年前のランドセルってどんなだったの?
次に10年前のランドセルについて見ていきましょう。大きな変化こそありませんでしたが、その後の変化の芽とも言える動きがありました。
ランドセルの価格回復と上昇
2007年頃からランドセルの平均価格が回復しています。2006年では平均価格は3万円台を割り込んでいましたが、翌年3万円代に回復してからは年々平均価格が高騰する傾向にあります。
赤・黒以外の色も好まれるように
また、この時期からカラーリングに多様性が見られるようになりました。そのきっかけといわれているのが、2001年に発売された業界初となるイオンの24カラーのランドセルです。それまでは赤・黒以外のカラーはオーダーメイドで作られることが一般的でした。イオンによってその後のランドセル=カラフルという流れが定着した考えられています。
デザインは半かぶせ型も定番の一つに
デザインに関しても新たな動きがありました。以前は学習院型と呼ばれている形が主流で、オーダーメイドのものでもない限り、ランドセルはほとんど同じ形であるのが一般的でした。ここにきて半かぶせ型という、形も主流の一つとしてある程度のシェアを獲得してくるようになります。
サイズは大きく変化していく時代
2011年から小学校では新学習指導要領の元、脱ゆとり教育化がすすめられました。そのなかで教科書や仕様プリントがA4サイズへとサイズアップしたことが近年のランドセルの大型化につながっていいます。ものによっては、優れた人工皮革の開発や素材にプラスチック製のものを採用したりと、軽量化、小型化が図られるようになっています。
最新のランドセル事情
さて、最後に最新のランドセル事情に関して見ていきましょう。大まかに言うと、材料高騰や少子高齢化といった要因から、高額化、種類の多様化がみられています。
高額商品から低額商品まで多様化 平均は高額化傾向に
価格は10年前から継続して、高額化の傾向にあります。サンケイリビング新聞社が行った2018年直近の調査では、平均価格は「5万2508円」、最も多い価格帯が5万円代でした。
こうした価格高騰の背景にはランドセルの原材料の高騰、少子高齢化により子供一人当たりにかけられる費用が多くなり、刺繍、デザインなどの凝った高額なランドセルが好まれるようになったことがあるようです。また、工房系と言われる鞄工房が手作りするランドセルを選ぶ本物志向の消費者も増えたことも影響しているでしょう。
ただ、高価格帯のモデルが普及する一方で、量販店などでは低額のランドセルも増えているほか、リュックサックなどランドセル以外のカバンを通学用に利用するケースもあるようです。
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多様な種類の色が好まれるように
子ども一人ひとりの個性を尊重する時代。カラーリングも、より多様なものが好まれるようになりました。ある人気ランドセルメーカーでは、カラーリング、微妙なデザインの違いを含め、合計130種類という膨大な種類のランドセルを販売しています。
高級天然皮革のランドセルが人気に
素材に関しても若干変化が訪れています。ランドセルの主要な素材といわれているのが、「クラリーノ」「牛革」「コードバン(馬革)」の三つです。シェアとしては、人工皮革であるクラリーノが多いですが、近年は、天然素材を重視したブランドランドセルの登場で、牛革やコードバンといった天然皮革のランドセルの人気も上昇しています。
サイズは大型化
また、これは10年前の部分でも書きましたが、学習指導要領の変化に合わせてランドセルも大型化しています。小学校の6年間で使う教科書の総ページ数は、この10年で35%も増えたそうです。現在ではA4フラットファイルが入るサイズのものが主流で、これは以前のものと比べると約一回りくらい大きいサイズになります。
重さも若干増え、ランドセルはだいたい1.2~1.5kgくらいが平均のようです。
ただ、各社細かな素材、部位の軽量化につとめ日々軽量化への工夫がされているようです。
デザインも多様化
また、高価格化が進むにつれて、デザインも多様化、刺繍やレースが入ったランドセルも増えています。また、人気アパレルブランドやインテリアショップとのコラボ商品や、百貨店モデルなど付加価値の高いランドセルも販売されています。
まとめ
この記事では20年前から現在までのランドセル変遷の様子を追ってきました。伝統的な形のランドセルではありますが、年々ニーズを追うごとに細かな変更が加えられていることがわかっていただけたかと思います。
昨今では価格、種類ともに多様になり、選択肢も増えたことで、大切なお子さん、一人ひとりにあったランドセルを選ぶ事に多くの労力を注ぐ親御さんも多いようです。
大切なポイントは何なのか、じっくりとお子さんと話し合った上で、最適なランドセルを選んであげて下さいね。
◆参照文献◆
ランドセル工業会 http://www.randoseru.gr.jp/history/
リセマム https://resemom.jp/article/2018/05/11/44484.html
サンケイリビング あんふぁんweb https://enfant.living.jp/