ランドセルに使われる代表的な素材には、人工皮革・牛革・コードバンの3種類があります。素材の種類が変わることによって、ランドセルのどこが・どう違ってくるのでしょうか?
今回はランドセルの素材を徹底検証!お子さまにぴったりのランドセル選びに、ぜひ役立ててくださいね!
目次
どこが違うの?ランドセルの素材3種を比較
子どもが6年間使うことになるランドセル。ランドセルを選ぶとき、大切なポイントのひとつとなるのが、使用されている素材のチェックです。素材によって、見た目や価格だけでなく、耐久性や重さなども変わってきます。
現在ランドセルに使用されているおもな素材は、人工皮革、牛革、コードバンの3種類。各素材の特徴をざっくりまとめたのが下記の表です。
風合い | 価格 | 重量 | カラー | 耐久性 | 耐水性 | |
人工皮革 | ★ (一般的) |
★★★ (安い) |
★★★ (軽い) |
★★★ (豊富) |
★ (一般的) |
★★★ (強い) |
牛革 | ★★ | ★★ | ★★ | ★★ | ★★ | ★ |
コードバン | ★★★ (高級感) |
★ (高い) |
★ (重い) |
★ (少ない) |
★★★ (丈夫) |
★ (弱い) |
では、それぞれの特徴を詳しく説明していきます!
ランドセル素材の主流!人工皮革とは?
たとえば、上記写真のカバンのフジタでは、かぶせや大マチ、前段・ポケットが人工皮革の「クラリーノ エフ」で、背あて部分は天然牛革となっています。
人工皮革と合成皮革は別物!
一般のカバンや靴などさまざまな商品の素材の表記では、合成皮革というものをよく見かけます。印象としてはよく似ていますが、 人工皮革とは、天然皮革の質感や風合いを人工的に再現したもののこと。合成皮革より上質で、価格も高くなります。
2つの大きな違いは、加工する上でベースとする部分です。合成皮革では単なる織物をベースとして樹脂をコーティングするのに対し、人工皮革では立体構造を持つ不織布をベースとして樹脂で加工します。
つまり、人工皮革の方が耐久性、見た目ともに天然皮革により近く、長期使用にふさわしい品質を持つものとしてランドセルに採用されているのです。
なかには合成皮革を使用しているランドセルメーカーもあるので、素材の表記をしっかりチェックしておきましょう。
クラリーノだけじゃない!さまざまな人工皮革
人工皮革でもっともよく知られているのは、歴史の長いクラリーノ。人工皮革の代名詞的存在で、人工皮革全般を「クラリーノ」と呼ぶ人もいるほどですが、これはひとつの商標で、株式会社クラレが1964年に開発した人工皮革ブランドです。
クラリーノを使ったランドセルをつくるメーカーは非常に多く、最近のランドセル工業会の調査では、44%を超える人がクラリーノ素材のランドセルを購入しているのだそうです。
このほかにも、 帝人コードレ株式会社のコードレやタフガード、株式会社FILWELのベルバイオなど、 化学繊維を扱う企業が工夫を凝らして開発したさまざまな人工皮革がランドセルに使用されています。
おもなランドセルメーカーや工房では、それぞれどんな種類の人工皮革が使われているのか、表にしてみました。
メーカー名 | 人工皮革の種類 |
池田屋 | クラリーノ、ベルバイオ |
黒川鞄工房 | クラリーノ エフ |
土屋鞄製造所 | クラリーノ エフ |
萬勇鞄 | タフガード |
鞄工房山本 | 帝人製 |
中村鞄製作所 | ベルエース |
羽倉 | コードレ |
MOGI(モギカバン店) | クラリーノ、クラリーノ エフ、クラリーノ タフロック |
カバンのフジタ | クラリーノ エフ、クラリーノ レミニカ |
セイバン | クラリーノ エフ、クラリーノ タフロック、クラリーノ レミニカ、アンジュエール、アンジュエール グロス、アンジュエール パール |
フィットちゃん | クラリーノ、クラリーノ エフ、クラリーノ タフロック、クラリーノ タフロックNEO、クラリーノ レミニカ |
最近では人工皮革の種類が豊富になり、見栄えの良さや防水性、耐久性など、機能がどんどん向上しているようです。
軽さ・カラーの豊富さで選ぶなら人工皮革!
人工皮革の素材のランドセルを選ぶメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
・天然皮革より軽い
・カラーが豊富
・耐水性に優れ、雨などの影響を受けにくい
・比較的価格が安い
デメリット
・天然皮革より耐久性はやや劣る
・使いこんでも風合いが増すわけではない
最大のメリットは天然皮革より軽いこと。体の小さなお子さんや通学距離が長い方で、少しでも軽いランドセルを選びたいという場合は、人工皮革がおすすめです。
また、女の子のランドセルに多いパール加工や、男の子に人気のゴールド・シルバー系カラーは、人工皮革ならではの展開。子ども受けする装飾の豊富なランドセルは、その多くが人工皮革製です。このようなランドセルをお探しの方は、人工皮革ランドセルに注目してみてくださいね。
ランドセル素材としておなじみ!牛革(本革)の特徴
スムース牛革 学習院型牛由来の革には本革と床革がある
動物から採取される天然皮革は、「本革」とも呼ばれていますね。 なかでも牛革は、さまざまな革製品に使われており、ランドセルでもなじみ深い素材です。
ただ実は、牛由来の革は、本革ばかりではないのです。牛の皮には層があり、薄い表皮を除いたあと、以下のように層を分けて利用されます。
本革:銀面(表皮面)のついた上の層。繊維が細かくて見栄えが良い。耐久性に優れている。
床革:表皮面の付いていない下の層。床面。繊維が荒いため耐久性に劣る。樹脂加工して使用されることがある。
牛由来の革の場合、本革とは上の層である銀面の部分のみを指し、下の層の床面は床革として区別されています。
床革を使用したランドセルもある
ランドセルには、銀面のついた本革を使用しているものもあれば、床革に樹脂加工を施して使用しているものもあります。素人が見た目で判断するのは難しいので、気になる方は注意しましょう。
床革かどうかは、カタログなどに小さく表記されているケースがあります。しっかりチェックしたり、店頭で確認してから購入するとよいでしょう。
本革なのか床革なのかによって、使い込んだときの風合いや耐久性に違いが出てくるそうですよ。
牛革ランドセルのメリットとデメリット
牛革ランドセルを選ぶメリットとデメリットは次のとおりです。
メリット
・高級感のある見栄え
・手触りがよい
・使用とともに風合いが増す
・強度と耐久性がある
デメリット
・人工皮革より200g程度重い
・比較的価格が高め
・防水性に劣るものがある
使い込んだときの風合いの良さが人工皮革に勝る牛革。防水面が気になりますが、最近はどのメーカーも表面加工に工夫を施して撥水性を高めており、簡単なお手入れで長くキレイに使えるものが増えているため、大きな心配は必要ないでしょう。
コードバンは最高級品質のランドセル素材
エイジングコードバンコードバンの特徴は希少性や品質の高さ
天然皮革のひとつであるコードバンは、繊維がきめ細かく揃っているため、滑らかな手触りと美しい艶を持っています。
採取されるのは牛ではなく馬。それもお尻の部分に限られています。そのため、ランドセルのかぶせ部分に使用される皮革は1頭の馬から2枚分しか採れません。
また、コードバン加工には技術や時間が必要とされ、皮から革へと仕上げるにはおよそ10ヶ月の月日がかかります。その品質レベルや希少性から「皮革のダイヤ」とも呼ばれている価値の高い素材です。
上質感のある革の風合いを楽しむならコードバン!
コードバン・アンティークコードバン素材のランドセルを選ぶメリットとデメリットはこちらです。
メリット
・見た目が非常に美しい
・しっとり感のある手触り
・使用とともに風合い、味わいが増す
・強度と耐久性に優れている
デメリット
・ほかの素材より重い
・価格が高い
・防水性に劣るものがあり、手入れが必要
艶やかさな見た目、なめらかさな手触りを楽しめるのは、コードバンならでは。 お子さんに本物を良さを伝えたいと考えるなら魅力的な素材といえるでしょう。ただし「皮革のダイヤ」と呼ばれるだけあって、 価格は他の素材に比べるとかなり高額になります。重量も重くなるので、しっかり確認してから購入してくださいね。
【子どものタイプ別】ランドセルのおすすめ素材!
人工皮革・牛革・コードバン、それぞれの長所と短所を見てきました。ランドセルの素材は「これがいちばん良い!」と決められるものではないことがお分かりいただけたと思います。
ランドセルはお子さんが6年間使用するもの。背負う子どもに合ったものを選ぶのがよいと思いますよ。子どものタイプや性格、条件をよく把握しているご家族が、じっくり検討してあげてくださいね。
ここでは、子どものタイプ別に分けておすすめのランドセル素材を挙げてみましたので、参考にしてください。
元気よく活発に遊ぶ子・・・牛革、人工皮革
物を丁寧に扱う子・・・牛革、コードバン
華やかな色やデザインを好む子・・・人工皮革、牛革
小学校までの通学距離が長い子・・・人工皮革
小柄な子、体力のあまりない子・・・人工皮革
交通機関や送迎で通学する子・・・牛革、コードバン
素材を知って満足のいくランドセル選びを!
ランドセルを検討するときに大事な要素のひとつとなるのが、使用されている素材です。現在のランドセルに使われている素材は主に人工皮革・牛革・コードバンの3種で、軽さや耐久性、風合いなどそれぞれ良さが異なります。
ただ単にどのメリットを選ぶかではなく、子どもの体格や性格、好み、通学状況などに合ったものを選ぶのがよいと思いますよ。
素材それぞれの特徴をよく知った上で、家族も子どもも満足のいくランドセル選びができるとよいですね!